東風 貢
Mitsugu Kochi
2025年4月より院長に赴任しました東風 貢です。
いきなりですが、“今、病院は何をすればいいのでしょうか?”・・・“この院長何を言っているの?病院は病人の治療をするところでしょう?”と言われると思いますが、今病院は治療だけ行っているだけではだめなのです。
確かに近年医療が進歩し高度な治療が可能です。それにより重篤な疾患患者さんも救命され、早期に社会復帰できるようになりました。そのような中、医療制度の改革が行われ、病院は治療内容に応じて分担化されました。大学病院のような高度な専門医療を行う施設、突然の病気に対する救急診療を主に行う急性期一般病院、手術後や、脳神経疾患などの治療後のリハビリを行う病院、長期の入院療養のための療養病院など、患者さんの治療の種類ごとに病院は区分けされました。一条会病院はこのうち救急車の受け入れも行う、急性期一般病院と療養病床を併設した病院に属します。救急車の受け入れを行っていると、社会の変化とともに患者さんも多種多様となりました。高齢者が増加し、一人暮らしの人が増え、若い方でも身寄りのない方も数多くなり、みな同じように治療を行うことができません。治療後病気が改善し、いざ退院しようとしても“ご高齢のためお家で生活ができません、お家でご家族が介護できません”・・・となると介護体制を整えるため介護申請をし、場合によっては老人施設を探す必要があります。身寄りのない方は、“元居た家が解約され帰る家がありません”・・・このまま病院から放り出すことはできないので役所と今後の生活体制を整えなければなりません。困ったぞ、急性期病院は入院日数が決められているのに、このままじゃ入院日数が伸びて病院の基準が維持できないぞ。しかしこのような問題はありますが、日本ほどすべての人が平等に医療を受けられる国は他にありません。日本以外の国で医療を受ける場合、高額な医療費が必要です。アメリカで手術を受ける場合、虫垂炎でも新車の高級車が1台買えるほどの費用が掛かり、自分で高額の任意保険をかけておかなければ到底医療は受けられません。イギリスではがんの手術も3-4か月待ちとのことで、日本は本当に安心して医療を受けられる国といえます。一方、誰もが安心して医療を受けられる制度は医療費を極力抑えることになり、その結果現在赤字の病院が8割以上あると言われています。病院はただ診療だけ行っているだけは経営が成り立たず、合理的に工夫をしながら医療を行っていく必要があります。その他にもこれまでこき使われてきた医師にも働き方改革が行われ・・・ということは医師が不足するという事ではありませんか。医療安全対策が重要視され、これに対する指導教育が必要です。そう“お名前と生年月日をお願いします”のあれがその一つです。コロナが蔓延してから感染対策の管理が重要になるなどなど・・・病院は治療以外もやらなければならないことがいっぱいあるのです。で、“病院は今何をしたらいいのでしょう”の意味がお分かりでしょう。
様々な問題をかかえる日本の医療事情ですが、我々はどのような条件でも常に病気で苦しんでいる患者さんに親切丁寧に手を差し伸べ、できる限りの治療を行い、元気になっていただくことを目指します。一条会病院は今何をしたらいいかを常に考え診療を行っていきます。何卒よろしくお願いいたします。
2026年5月
一条会病院
院長 東風貢
